• トップ
  • 会員案内
  • サークル概要
  • 認定講師制度
  • 資料請求

イベント案内

過去のART LABO
ART TRANSIT TOP > イベント案内 > レギュラーイベント > ART LABO > 過去のART LABO

2023年4月1日(土):インタビュー&フィールドワーク「作家さんのお話を聞いて作品を観に行こう!


今年度のテーマ「アーティストを深掘りする(サイトスペシフィックアートをメインに)」に合致したイベントを山内講師から紹介され、出品作家へのインタビューとイベント訪問を通じ、新たな展示形式を堪能しました。

(参加者 計8名 )

 

[概要]

「有楽町ウィンドウギャラリー2023」では、14組のアーティストの作品が「丸の内仲通り」周辺の9店舗に展開し、作品の購入も可能な新しい体験を提供しています。今回のアートラボでは、まず四谷の教室でその出品作家のひとりである岩谷雪子氏にzoomでインタビューを行い、その後、現地に移動し、イベントの主催者である「一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン」の鈴木育子氏の案内で各店舗の作品を鑑賞しました。

[前半:岩谷雪子氏の紹介とインタビュー(zoom)]

最初に 山内講師が 2020年「昌原彫刻ビエンナーレ」(韓国)でシンポジウムの為に作成したビデオ「Japanese artists who utilize non-traditional materials, and the influential thinkers and philosophers(伝統的でない素材を用いる日本人作家と彼らに影響を与えた思想家たち)」から、岩谷雪子氏に関する部分の抜粋を視聴ました。
要旨は下記のとおりです。


●岩谷氏は乾燥した植物等を用いて作品を制作し、多くの場合、展示会場の周辺から素材を見つける。
●興味深いことに、これらの作品のいくつかは、植物自体のエネルギーに因って変容するものもある。
●「人の手によるもの」と「生命力」が拮抗し共存するのが、岩谷作品である。
●岩谷氏曰く「植物も虫も動物も土も水も、そして我々人間もこの世界の一つの要素に過ぎない」「我々は全てをコントロール出来るわけではない、という事を忘れてはいけない」
●動物と異なり、植物の『生と死の境界』は緩やかで、例えばある種の植物の種は目覚める迄 、何千年も眠ることが出来る。従って植物の寿命を定義することは困難。この事実は、すべての生命が同じタイムスケールで生きている訳でないことを思いださせてくれる。
●岩谷氏は様々な東洋思想に影響を受けている。興味深いのは老子の思想『無為自然』からの影響で、この言葉からは自然法則にゆだねる姿勢が窺われる。


岩谷雪子 《ダイコンソウ・靴》 2023
●その素材は 物理的特性を変えずに組合されている。形や色は光、温度、内部からのエネルギーによって変化することがある。  
●展示会場の周辺の植物を採取し、その行為を通して、作品は特定の地域や季節の記憶を含むことになる。  
●「採取 / 組合せること / 展示」の三つのシンプルな行為によって「素材 / 環境 / 鑑賞者」の間に儚い 出会いの場を創り出す。それは生命と自然の法則について考える機会となる。

ビデオの視聴後には、山内講師より次のような説明があった。
繊細な植物を素材としながら制作する際の素材のあり様と、採取する条件が、ここで注目すべき2つのポイント。

植物本来の性質や力を加工しないで使うことによって、姿が変様する可能性を含む。植物本来の力によって形や性質が変化する、時間と共にある作品といえる。
展示する会場の周辺で素材を採取すること(素材と展示環境との関連性)で、作品が土地や季節の記憶を含む。

それに続き作家から近年の作品について話を聞いた。


(1)「MIND TRAIL 奥大和 心の中の美術館 2022」(2022年)
作品を見ながらトレッキングしたり、地位図で探しながら野外でアートを楽しんだりする趣向の企画。出品作品《 私に気づいて 》は様々な作品で構成。「生の葉っぱ」に、パンチで穴をあけたり、糸で結んだり、X印を付けたり、玉止めしたりするなどして、生きた植物をそのまま作品とした。
運動場の小屋の鉄骨梁上や筋交等に展示した作品は、その周辺に生えていた植物と、場所のエピソード(イベント等の記憶を想起させる)を記したボードで構成。尚、展示後はそれらを採取した場所に置き、土に戻して完結した。
(2) 「有楽町ウィンドウギャラリー2023」(2023年)
靴店「Allbirds」の店内に計14点の作品を展示した。植物をガラス壁に貼ったり、Allbirdsの靴と組み合わせることもした。Allbirds は環境への配慮をコンセプトとしており石油由来の素材は使用しないため、アクリルのケースは使用せず、ガラスのケースや商品用の紙製の箱の中に作品を展示した。


周辺では準備期間において採取できる植物が限られていたため、『皇居の植物』を参考文献として、作家が所有するストックの中から、掲載されている植物と同種のものを使用した。昭和天皇の言葉に「雑草と言う草はない、どんな野草植物にも名前がありそれぞれ自分の好きな場所で生を営んでいるのに、人間の一方的な考えで雑草と決めつけるのはいけない」という趣旨のものがあり、これに因んで、今回作品で使用した植物には一個一個 すべてに名前を記している。
前半の最後には質疑応答の時間を設けた。

北海道出身だが、高知在住と植物を素材とした作品に影響や関連はあるか。
― 特になく、植物はどこにでもあるので、地域は関係なく植物を扱う。

日本画を専攻したとの事だが、作品と日本画の構図等との関連があるか。
― 日本画を描いていた時は、植物や動物をモチーフとすることが多かった。現在の作品で構図をシンプルに配置する等の表現方法は、日本画的ではないかと思う。Allbirdsの靴箱を使用した作品では、靴箱の内側を背景として植物が映える作品とした。


後半:丸の内仲通りで「有楽町ウィンドウギャラリー2023」の作品を鑑賞]

主催者である「一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン」の鈴木育子氏より、近年の丸の内におけるアート関係の取り組みの沿革、および「有楽町ウィンドウギャラリー2023」に参加する9店舗の展示について解説を受けた。

このうち実際に作品を鑑賞した店舗と展示作品の作家は下記のとおり。
Allbirds/岩谷雪子 
RIMOWA/詫摩昭人
NUMBER SUGAR/山本万菜
bois de gui/表良樹、門田光雅、Mrs.Yuki、宮田雪乃
Baccarat/佐藤翠
KEF/八木良太

                    以上(大浦)

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度いらしてみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
過去のART LABO一覧に戻る
PAGETOP