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2024年6月1日(土) フィールドワーク:井の頭自然文化園「ようこそデザニャーレ」展


東京都立の動物園・水族園4館(上野動物園、多摩動物園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化)のインハウスデザイナーが手がけるデザインの面白さや工夫に触れられる展覧会を見に、井の頭自然文化園の資料館へ行ってきました。  

こちらでは東京動物園協会の教育普及センター所長の天野さんと係長の高松さんからご説明をいただきました。
はじめに天野さんからは、ニューヨーク・ブロンクス動物園での展示グラフィックス部門で働いていた日本人デザイナーの本「動物園から未来を変える」の紹介がありました。

同園では動物園のデザインを担う部門として様々な職種の専門家や専属のデザイナーがいるそうです。  
東京都立の動物園では18年前まで専属のデザイナーは存在せず、スタッフの方々で作ったり外注したりされていました。

17年前に北村直子さん(現在も在籍)が井の頭自然文化園で初めての専属デザイナーになり、現在は上野動物園・葛西臨海水族園と合わせて3名のインハウスデザイナーの方が居て、チラシやパネル、企画展など動物舎等施設以外のさまざまなデザインをされています。

説明を聞いた後、展示室を案内していただきました。
 「デザニャーレ展」の会場は、将来はニューヨーク・ブロンクス動物園のような、様々なデザイン担当のスタッフによって構成されているデザイン室を作りたいという願いを込めた、未来のデザイン室(通称デザニャーレ)という設定になっています。  

タイトルの「デザニャーレ」とはデザインの語源であるラテン語の「designare」から作られた造語で、designareの音が「ニャー」と聞こえることから名付けられました。 入口の名札にあるスタッフの名前も「対馬虎雄→ツシマヤマネコ」「鯰江あみ→ナマズエ(英訳のキャットフィッシュ)」など猫にちなんでおり、見る人を“にやっ(ニャッ)”とさせる仕掛けもあって楽しいです。
展示室に進むと、インハウスデザイナー3人の仕事を紹介するために再現された作業デスクが有り、動物園や水族園の魅力を伝えるために、どのようなデザイン作業をしているかが分かるようになっています。  

デザイナーのデスクの上では動物のパンフレットや、園のギフト商品、ノベルティ、種ラベル、動画、ラッピングバス、特設展など、進行中の仕事の様子を垣間見ることができ、よりわかりやすく楽しく伝えたいという思いの入った多種多様のデザインを作られているのが分かりました。


“主役は生きもの”という事を忘れず、正確に描くのを大切にしているので、動物解説員や飼育の担当者に指の本数、足の関節の位置、耳の形、夏毛か冬毛かなど細かく見てもらうそうです。
細かい赤字チェックが入った校正紙も展示されていました。  

作業デスクや試作コーナーには、高松さんが以前、井の頭自然文化園に勤務していた時に作られたダンゴムシやアメリカザリガニの脱皮を表現した学習用のぬいぐるみ教材も有りました。
会場では残念ながらさわることはできませんが、実際手にとって脱皮の仕方を学べるのではとても分かりやすいと思いました。
ピクトサインのなかには動物園ならではの禁止事項などオリジナルのデザインもあり、「蝶を採らないで」と逆の「蝶を放さないで」も有り、何故?と思いましたが、自分の家で飼育していた蝶を昆虫園の温室に放す人がいるそうです。面白いですね。  

その他、企画展のチラシやポスター、オリジナルグッズの数々がざっくり分類されながら壁面いっぱいに飾られたエリアもありました。
イラストレーター原田治さん、絵本作家五味太郎さんなど著名なクリエイターが過去にデザインした展示もありました。

テーブル上では、チラシに印刷された生きものたちが切り取られ、それが立っていたり、テーブルの下、天井からのぶら下がり、柱にへばり付いていたりなど、楽しんで見てもらえるように作ったんだろうな、と思わせる展示になっていました。  

インハウスデザイナーの強みは、実際に生きものを直接観察できる場にいられる事だと思います。

その仕事は動物園・水族園と共に支え合いながら今後も進化していくのではないでしょうか。

何よりも遊び心が満載で、デザイナーの方々の動物愛がすごく伝わってくる展示でした。生きものとデザインのつながりを見るため動物園の中でデザイン探しをしたり、癒される一日となりました。      (書記:福田)


先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度いらしてみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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