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2022年10月1日(土)フィールドワーク:「多様な文化が反映された現代美術に触れる」


今回のフィールドワークは、馬喰町周辺にあるギャラリーにお邪魔いたしました。まずは、DDDホテルのロビーにて集合しました。
案内は、山内先生のお知合いで、起業からコンサルティング等マルチに活躍されている武田悠太さん。前日(9月30日)レセプションがあり、本日の14時オープン。と、その前にご厚意で鑑賞させていただきました。  

■DDDホテル併設のギャラリー【PARCEL】へ
こちらのギャラリーのディレクターは佐藤拓氏。元々地下の駐車場を改装し、ギャラリースペースとした場所。駐車場横の細い扉から入るような作りで、隠れ家的ギャラリーという感覚。白塗りの壁に淡い色合いの黄緑色の絵画作品が並ぶ。
伊藤桂司(Ito Keiji)個展 −VERDE CÓSMICO− 2022.10.1SAT → 10.30SUN  

入るとすぐに、森の中に湖が描かれた作品や、海辺の砂浜へ続くような細い道を描いた作品が並ぶ。私個人の感想を述べると、森の中ならありそうな、砂浜へ行く前に通ったあの道もこんな感じだと思い出すような景色なのだが、懐かしい楽しかったと思い出すより、ちょっと知らない場所へ行って不安になるような異世界に入り込んだ感覚があった。
鑑賞する前に作者のコメントが私の感情をそうさせたのかもしれない。


「幼少期から、死後の世界を思うときは、恐怖より興味が勝っていた。 そのイメージは、得体のしれないものとして「夜」や「宇宙」を想起させた (途中省略)  近年、大切な友人との突然の別れを立て続けに経験し、これまで漠然と感じていた死の輪郭がくっきりとしてきた。同時に一瞬で過去へと変貌をとげる「いま」という時期の儚さを改めて感じている。二度と訪れず、誰とも分かちあえないこの瞬間の意味をより強く思うように・・(以下省略)」

オープンな階段を降りた地下のスペースの壁にも同じような黄緑色で描かれた作品が並ぶ。
満点の星空の下に広がる浜辺がどこかの惑星へでも行ったような、または、見慣れた海岸が色を変えることで全く違った印象に描かれているのか。その中にはマスコット的な熊のぬいぐるみのような生物が何体も移動している様子も描かれている。空の黒に、空から降り注ぐような満点の星が白で描かれ、地上は黄緑色の砂浜と丘陵が広がる。

 再び作者のコメントを読み返すと、「満月の夜に森の中を散歩したときの、すべてを覆い尽くすグリーントーンの美しさ。夜の海岸で出会った満点の星空、宇宙に放り出され、まるで自分が宇宙に溶け込んで行くような感覚を覚えた」と表している。  
実際に見るとより感じられる。


私は絵を描かないので色の名前を細かく伝えることが難しいのだが、吸い込まれそうな光沢のない黒と月に照らされたような淡い黄緑に覆われた地表とのコントラストがそうさせるのか、夜空の満点の星達が降り注ぐように描かれているからそう感じるのか、その絵の中に私自身が入り込んだような不思議な感覚があった。  

ギャラリーの白い壁に飾ってあることが、より作品を引き立たせているかのようにも感じられたのは、私の個人的な好みも関係するのかもしれない。
続いて武田さんに案内していただいた  

■marukaビル2F 【parcel】へ  
 (馬喰町2-2-14)  

こちらも同じ系列のギャラリーとなりますが、前面が駐車場でその脇を入った、改装の工事途中か、はたまた解体途中かと思ってしまうような故意に壁や手摺りの角を崩したような、ある種前衛的なギャラリーだなぁとワクワクしながら2階へ。  


橋本知成(Hashimoto Tomonari)個展
2022.10.1SAT → 10.30SUN  

期待以上の作品群に顔がほころんでしまった。心の中では、「なんだコレは?」の連発でマスクの下で口が半開きの状態だった。四角い型枠に流したコンクリート?表面が金属質のものを塗布して高温のバーナーで焼いて金属板が剥がれたような表情。
高温で焼付けたことでオーローラ状に輝いているのか。茶碗にもこのような表現があったか。陶土に金属質が高い釉薬?金属の球?頭の中に『?』がうごめく。

鑑賞後、武田さんが解説してくださった。

作者は、まだ東京では有名ではないが、国内外で数々の展覧会に参加し陶芸という枠に収まらず特徴のある金属質は表情をもった作品を発表し続けている。全て手で制作しているという。

型枠ではなく、手で制作していたのには驚いた。



馬喰町の【PARCEL】と【parcel】どちらもこれから楽しみなギャラリーでした。

 

次は、そこから徒歩5分程度 川崎大師の東京分院『薬研堀不動院』すぐそば

■Ritsuki Fujisaki Gallery
石橋征子・土屋麗 二人展 −On being an angel−
2022.9.3SAT → 10.2SUN  

イギリスを拠点とする両作家が、2022年にアーティストインレジデンス(滋賀県立陶芸の森)にて滞在制作を行った陶芸作品と、これまで共作を行っている写真の新シリーズを発表したもの。

こちらのギャラリーで取り扱った二人の作家については、海外での活動が多く日本での発表はなかったが、2022年二人が同時期に信楽の芸術の森でのアーティストレジデンスで滞在製作を行ったことで今回の出展が実現した。  


作品を鑑賞すると、感想を言葉に表わすことが難しい作品だということが第一印象にある。
が、山内先生のおっしゃるように「日本人というアイデンティティが感じられる作品で、写真の撮り方一つとっても禅画を思い起こさせる構図が見て取れる」
なるほど。さすがのコメントで恐れ入りました。

作品はそのように鑑賞するのだと学び、私もそこから見方が変わりました。  
ギャラリーの藤ア律希さんより解説していただきました。
作品の中にお面が登場するが、それぞれの作家がそれぞれのお面を付けている、そこからお互いのお面を交換して付けてパフォーマンスをし、作品とする。

そうすることで、鑑賞者を攪乱するし、挑発的でもある。分からなくする意図がある。現代が混沌とした世の中で、被害者なのか加害者なのか、容易に両方になりうる。人との距離がつかめず自分自身も定まらず不安定で答えが見つけられない『アート的である』  

アメリカや日本はや、全て話して説明してアート作品を解説する傾向にあるが、ヨーロッパでは余白を残す、ナゾは謎のままあるのがいいとされ、解釈は鑑賞者に委ねる傾向にある。この二人の表現もヨーロッパ的であるということが言えると思われる。 実際のところ彼女達が何を思って表現しているのかの意図は分からない。

以上、方向性の違った作品を扱うギャラリーを巡った、とても学びの多いARTLABOでした。次回も楽しみです。                          

                                            (書記:五木田)



先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度いらしてみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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