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2022年6月4日(土)フィールドワーク:「社会環境とアートについて過去から学ぶ」
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2022年6月のART LABOでは「福沢一郎記念館」と「世田谷美術館分館 清川泰次記念ギャラリー」の2か所を訪れました。
福沢一郎(1898年-1992年)は、日本にシュルレアリスムを紹介したとして知られる洋画家です。 大正末期から平成まで長きにわたって活躍し、前衛から具象までさまざまに主題と作風を変えながら制作を続けました。 福沢が使用したアトリエ、書斎、居室の一部が、福沢一郎記念館として公開されています。 記念館では年2回の企画展示や講演会が行われています。内部は大作が制作できるよう天井がとても高く作られており、若い頃住んでいたパリのアトリエを彷彿とさせるつくりとのことです。 福沢はこの場所で40年近く制作を続け、絵の具が床に飛び散っている様子がそのまま残されていました。 |
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私たちが訪れた時は、特別展「旅する福沢一郎 vol.1 写真と素描でたどる『アマゾからメキシコへ』」が開催されていました。 福沢は1953年から54年にかけてメキシコやブラジルなど中南米を訪れ、日本とは違う文化に刺激を受けます。その際に撮影した写真が多数展示されていました。 福沢の絵画は目にする機会が多くありますが、写真を見たのは初めてでした。 今回のART LABOでは、福沢一郎記念館学芸員の伊藤佳之さんに解説をしていただきました。 JR東京駅にパブリックアートとして展示されているステンドグラス「天地創造」(1972年)が、東京国立近代美術館の「埋葬」(1957年)を基礎として制作されていたなど、興味深いお話を聞くことができました。 |
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質疑応答ではこのような質問が出ました。
Q: 写真はどのように保存されていたのですか? A: 遺族の方が保管していたのですが、倉庫に眠っているような状態で、ほとんど公開される機会はありませんでした。ご縁があって2020年に公益財団法人ポーラ美術振興財団の助成を受けることができ、写真のデジタル化に取り組みました。今回の展覧会はその研究成果の一環です。
Q: 福沢は写真を作品として発表はしなかったのですか? A: 写真を作品として発表した記録はありません。 彼にとって写真はあくまで趣味・記録・スケッチの手段であり、表現の手段ではなかったようです。 |
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企画展「清川泰次 白と線の時代」として、白い画面とシンプルな線を基調とした清川の作品が10点ほど展示されていました。 こちらのギャラリーでも床に絵の具が飛び散ったまま残されており、アトリエとして使われていた当時の雰囲気が残されています。 また、区民が絵画や書などの作品を展示できる区民ギャラリーが併設されています。 私たちが訪れた際は藍染めの展示が行われていました。 |
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今回訪れた2か所は、いずれも世田谷の住宅街の中にこじんまりとたたずむ手入れの行き届いたギャラリーで、画家の生前の息遣いが感じられるような空間でした。 私はどちらも今まで行ったことがなく、ART LABOがなければ訪れていなかったと思います。 ART LABOならではの新鮮な体験をすることができました。 (書記:新井) |
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