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2021年4月3日(土)フィールドワーク 「東京都写真美術館図書室&写真ギャラリー」見学


フィールドワーク第2弾として今回は下記の場所を訪れました。
@東京都写真美術館 図書室 :
   予約した写真集を館内で閲覧
Aアメリカ橋ギャラリー:
   Shimada Masafumi氏の作品鑑賞

@東京都写真美術館 図書室
はじめに、司書の方からこちらの図書室利用方法についてご説明をいただき、その後、講師の山内さんが事前に予約していた14冊の写真集をメンバーで閲覧しました。

写真集の選定過程では山内さんお知り合いの作家4名に「写真愛好家初心者の方へのおすすめの写真集・写真に関する本」を推薦いただきました。あわせて、各作家の今後の発表予定についても山内さんから紹介がありました。
・糸井潤(いといじゅん)
『センチメンタルな旅・冬の旅』荒木経惟著新潮社 1991 『Exiles photographs by Josef Koudelka』;essay by Czeslaw Milosz, Aperture Foundation 1988
『Desert cantos 1st ed.』Richard Misrach ; essay by Reyner Banham, Albuquerque : University of New Mexico Press 1987

・岡田将(おかだすすむ)
『Chaos : photographies de Josef Koudelka』texte de Bernard Noël ; postface de Robert Delpire, Nathan 1999
『Mineheads』Bernd & Hilla Becher, Cambridge, MA : MIT Press 1997

・スクリプカリウ落合 安奈(おちあいあな)
『東北』田附勝著 リトルモア 2011
『螺旋海岸 : album』志賀理江子著 赤々舎 2013
『王国』奈良原一高著 復刊ドットコム 2019

・竹谷出(たけやいずる)
『Ernst Haas color photography』Ernst Haas, Ruth A. Peltason, H.N. Abrams 1989
『安井仲治 : 写真のすべて : 生誕百年』渋谷区立松濤美術館[ほか]編 共同通信社 2004
『ジョセフ・クーデルカ展』ジョセフ・クーデルカ原案 ; 増田玲, 小林美香, 三輪健仁編集 ; クリストファー・スティヴンズ,山本仁志翻訳 東京国立近代美術館 2013  

※その他山内さんより下記の資料も追加で予約頂きました。
『4/524』小平尚典著 新潮社 1991 、
『写真展 岡本太郎の視線』三井圭司, 藤村里美編 東京都写真美術館 2005、
『サイ・トゥオンブリーの写真 --変奏のリリシズム--』前田希世子編 ; 前田希世子, ロバート・リード訳 DIC川村記念美術館 2016

上記で特筆すべきは 上記作家4名中3名がジョセフ・クーデルカを推薦しているということでした。 図書室を退出後、一部のメンバーからは次のような感想がありました。「『東北』が印象に残った」「Ernst Haas作品の色がきれいだった」(SY)、「落合さんの制作方法については自分も以前から関心を持っていたが、彼女が選んだ写真集にはそれと通じ合うものを感じた」(A)。

メンバー全員の感想は次回ラボで話し合われます。   写真資料の“宝庫”であるこちらの図書室の利用方法が今回わかったことは今後の我々の研究調査の大きな助けになりそうです。 山内さんありがとうございました。


Aアメリカ橋ギャラリー:Shimada Masafumi氏の作品鑑賞
<作品概要> 19世紀末から20世紀初頭にかけて流行したピクトリアリズム(絵画主義)の中で代表的なプリント技法、ガムプリント(ゴム印画、Gum bichromate Print)を用いた作品7点。1830年代にフォックス・タルボットによって発明された、銀塩プリントの基礎となるプリント技法、ソルトプリント(Salted Print)を用いた作品2点。

下記は、鑑賞後、山内さんとメンバー(以下Yなど)とShimadaさん(以下S)による質疑応答です。
Y)写真で作品を制作するようになったきっかけは?

S)元々は音楽をやっていたが、最終的にジョンケージの「4分33秒」の曲は超えられないと音楽は断念。そうした中、以前から音楽プロモーションの一環で手がけていた写真に本格的に取り組み始めた。
できるだけ手をかけて作りこむ制作方法を大切にしたかったのと、自分のイメージする作品を追い求めた結果この手法に行き着いた。  

Y)今回は初個展であるだけではなく発表自体が初めてとのことですが。
S) 当初は人に作品を見せることに抵抗があった。
それは 他人に自分の思いと違う解釈をされるのが嫌だったため。しかし、その後むしろ人の意見も聞きたくなる面も出てきてこういう形になった。  


Y)古典技法はいつから、どのように?
S)2017年からまったくの独学でやってきた。ピクトリアリズム写真に興味があり、芸術と写真の紐づけをしたかった。また、デジタルにはない質感を出したかった。
  
Y)関心を持っている写真家は?
S)敢えてあげると杉本博司さん、服部冬樹さんですが、特別に好きという人はいない。
 (*服部冬樹氏はヌードを静物画的に撮影するスタイルで古典技法にも精通。)  

T)「3パターンの経時的描写」の作品が気になる。
S)シャッターを切ってない写真を3枚並べてある。 ジョンケージの「4分33秒」へのオマージュ的作品。パターン1−3の時間は同曲の1−3楽章の時間に合わせてある。被写体にカメラが対峙した時間、そして撮った瞬間から紙の中で進み始める時間。こうした時間を写真で表現したいという思いがある。  

T)「完全な想像」は版画的にみえるが?
S)他作品は複写して最終出力してるが本作品のみオリジナルプリント。  
SA)ガムプリントの制作方法は?
S)アラビアゴム+顔料+重クロム酸塩を塗布した紙にネガを密着させて紫外線で焼き付けた後、未感光部を水で洗い流す作業を何度か繰り返して諧調を整える。
 [例 卵の作品(「快適な空間」)だと15回、約9−10Hrs。] 手をかけることで愛を込めたい思いがある。  

Y)額装のセンスが良く、キャプションも壁から浮かせてありこだわりが見える。
S)PGIのフレーム採用。作品に干渉しないフレームを選ぶようにしている。 キャプションの影がフレームの影と揃うように考えた。  

Y)今後については?
S)明確にはない。ただ、一つは現在デジタルカメラでとったものでネガを作成しているが、フィルムでの作成にチャレンジしたいという気持ちはある。やはりアナログにこだわりたい。  

Y)初の個展の感想は?
S)たくさんの人に見てもらえて良かった。 その一方で(自分の思いとは別の)いろいろな見方をされてうれしくも寂しくもあった。  

今回も素晴らしい作家さんに出会えて我々もとても良い勉強になりました。 来月は意見交換や、「映像」をテーマとした情報共有等となります。                            (筆記 佐々木裕一)

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