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イベント案内

過去のART LABO
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2020年12月5日(土)「2020年総まとめ&2021年テーマ決め」


2020年、ART LABOでは「立体・彫刻」をテーマとして1年間研究をしてきました。年内最後の回である12月はそれぞれが1年間の成果発表を行いました。

テーマ:「ドナルド・ジャッドを通して芸術に関して考える(マイケル・フリードを手がかりに)」 マイケル・フリードというジャッドを批判した美術評論家は、「ジャッドの作品は見る人を必要とし、作品自体で充足するのではない」「それは演劇的であり、芸術は演劇の状態に近づくにつれて堕落する」と言ったそうです。それはモダニズムとジャッドの作品の対立をよく表しています。
その後の現代アートで観客を巻き込むような作品が増えることを考えると、まさにジャッドの作品は現代を先取りしていたのではないかと思いました。

テーマ: 「みえる立体とみえない立体」
ご自身がこれまで訪れた場所で撮影したアート作品の写真を紹介しながら、ジェームズ・タレルやレアンドロ・エルリッヒ、フランク・ロイド・ライトの落水荘や豊島美術館など、立体作品にある「すき間」や「空洞」に着目してまとめました。


テーマ:「ギリシャ・ローマ時代から中世を経てルネサンス時代へ」
彫刻・立体作品を通じてルネサンスまでの歴史を概観するという壮大なテーマを設定しました。面白い着眼点として、各時代の貨幣に刻印された顔を見ると、帝政ローマ時代に比べて中世のものは著しく技術レベルが落ち、子供の落書きのようになってしまいます。

その理由はさまざまあると思いますが、教会の権威が強くなって自然科学的な価値観が発達しなかったことが理由のひとつだと指摘していました。

テーマ:「古拙の笑みを求めて 哲学・視覚・身体・呪いの観点から表情を眺める」

中宮寺の半跏思惟像を中心として人はなぜ「笑み」に惹かれるのかを発表しました。古代ギリシャから現代まで幅広い射程で、特に韓国のBTSの「美しい顔」に着目した発表は興味深いものでした。









テーマ:「太陽の塔について」
2020
3月に有形文化財に登録された太陽の塔について紹介しました。建設されたばかりのときは「牛乳瓶の化け物」と言われるなどすぐに受け入れられたわけではありませんでしたが、その後万博記念公園のシンボルとして受け入れられ、当初は万博の会期が終わったら壊される予定でしたが残されることとなりました。
その変遷は、最初は市民の評判が悪かったエッフェル塔とも似ています。また大阪万博のうちいくつかのパビリオンが現存しており、各地に移設されてお寺や公民館などまったく違う形で再利用されているという事実は驚きでした。

テーマ:「立体視について考える」
次は少し趣向を変え、作品やアーティストではなく、「立体視」という人間の生理作用についての研究でした。興味深いのはスーザン・バリーという女性の例です。
彼女は両目とも視力1.0でしたが立体視だけができませんでした。両目とも見えてはいるのですがその情報を脳の中でうまく立体に処理できていなかったのです。大学の講義で初めて人間は立体視できると知って驚いたそうです。
その後彼女は視覚に関する研究者になりましたが、驚くべきことに48歳にして後天的に立体視を習得しました。絵画は遠近法や陰影といった手法を用いて平面に立体を再現しようと試みてきましたが、考えてみればそれも人間の立体視という生理作用に基づくものです

テーマ:「ファーレ立川について」
最後に、6月のART LABOで訪れたファーレ立川について発表しました。ファーレ立川は1994年に立川駅北口の米軍基地跡地にオープンした再開発施設で、100点以上の立体作品がパブリックアートとして常設展示されています。オープンから20年以上が経ち、徐々に経年劣化が進んでいましたが、市民の協賛を集めて数千万円の費用を集めて2度の大規模補修をして今に至っています。ドナルド・ジャッドの作品を数十億円で購入したいというオファーがあったが立川の象徴だと言って断ったというエピソードが印象的でした。

2020
年はコロナ禍の影響で多くの美術館がクローズしたり企画展が中止されたりするなど大変な1年でしたが、工夫しつつ無事1ART LABOをやり抜くことができました。

後半では2021年のテーマ案を全員で話し合いました。1時間に及ぶ議論の結果、テーマを「写真・映像」とすることに決まりました。

                                           (書記:新井)  

2021年1月から、また新しいメンバーも募集いたします!
先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度いらしてみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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