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2018年6月2日(土) レクチャー+ミーティング 「それぞれのテーマ発表」


6月のART LABOは久々に四谷のビジネスラウンジでの開催です。  
今年度は全体のフィールドワークとは別に、メンバー個々の研究テーマを持ち寄り、調査内容をシェアすることになりました。今回はそれぞれが考えたテーマを発表し、相互の関連性や今後の進め方のヒントなど、全体でディスカッションしました。
併せて、5月までに各自で訪問した展覧会のうち、「明治」の関連する印象深いものについても話し合いました。

欠席の方からはMLで研究テーマに関する情報をいただきシェアしました。
個々の設定テーマと研究の視点、当日のディスカッションポイント等
【日本画誕生】 五浦に都落ちしたメンバーの動向に着目し、明治日本画の黎明期を整理する。
資料が多く残されている大観より、春草などややマイナーな画家を中心に調査したい。
【明治初期の洋画家は何を西洋から学んだか】日本の西洋画の黎明期は、フランスにあってはアカデミズムから離れた新たなモダニズム絵画が出現する時期にあたっている。その時期にフランスへ留学した日本人画家は何を学んだのか。
 ・小田野直武から安井曽太郎に至る日本人画家やフォンタネージ、コランなど洋画黎明期に登場する重要人物一覧を提示。併せてアカデミーを中心とした素描重視の19世紀フランス美術界の状況についても情報提供がありました。
【バルビゾン派と明治初期の洋画について】西洋画が日本の中にどう定着していったか、浅井忠を中心に調査したい。また、当時の暗く塗りこめた独特の表現(ヤニ派)についても興味がある。
【明治洋画の近代化−浅井忠の作品を通して−】 新旧の違いに焦点を当てることで、明治という時代において、洋画がどのように浸透したのか、考察したい。
・浅井忠はその後、フランスに渡って晩年、アールヌーボーの作品にも取り組んでいて画業が極めて幅広いため、これら2つのテーマを並走させがら浅井忠を多方面から掘り下げるのも良いのではないかとの意見がありました。
・画材研究や絵画修復の視点についても話が及び、来年以降のLABO基本テーマとしても面白いとの意見もありました。
【明治期の美術の受容過程について−「鑑賞」を中心に−】 明治維新以降の洋化政策の中にあって、西洋を規範とした制度面での美術受容史の先行研究は多くなされているが、「受け手」にフォーカスし、江戸から明治初期の物産会、薬品会、油画茶屋等を源流とする「美術鑑賞」という概念がどのように生まれ、変遷して来たかについて調査したい。
 ・現代の日本の鑑賞は油画茶屋の頃と本質的に変わっていないのではないか。もっぱら耳目をひく企画展にばかり人があふれ、美術館のコレクションには興味がない。展覧会がキュラトリアルな意味(研究を含め)を持ちにくく、アートを「パブリック」なものとして捉えるという概念が殆ど育っていない。こうした現状につながる視点や、当時のコレクターやパトロンと鑑賞という視点を加えても面白いのではないか等の意見がありました。
【明治の超絶技巧はなぜ失われたのか(陶磁編)−ゴットフリート・ワグネルの功績と重ね合わせて−】  
大もとのテーマは「近代化」である。ここにあげたのは単なる入り口のようなもの。欧米人に飽きられたというのが端的な理由で、日本人自らこの技巧を捨て去ったという観点である。日本の工芸は博覧会をバックに大変な人気を博した。しかしやがて飽きられると陶磁器の輸出は激減。需要の減少とともに技術も廃れていったが、その背景に何が起こったのか、工芸と産業との関係を軸に調べてみたい。
・この過程を追いかけてゆくと、随所にワグネル(化学者)が登場し、産業振興に強くかかわったことがわかるそうです。一方、明治期の「美術」における工芸の立ち位置の不安定さを指摘でき、それらを整理することで(陶磁編)としては完結するが、そこから日本の「前近代」の固有性を考察したいという補足説明がありました。 ・「美術と工芸」という切り口は先の「鑑賞」の概念にも通底する部分があるとの指摘もありました。
【岡倉天心】
 明治期の文化を支える漱石や鴎外の作中にも頻繁に美術作品が登場する。それだけ市民の間に美術が浸透していった証左ともいえるが、その後の流れと現代アートに連なる「日本の美術」を考察するとき、天心に関する調査は避けては通れない課題である。  
・『茶の本』や周辺資料から当時の文化人と一般市民との距離感を含め、天心の思想について理解を深めてゆきたい旨、補足説明がありました。
【なぜあの名作はこの美術館に?】 東京国立近代美術館はいつどのようにコレクションを収蔵したのか、
地方の私設美術館になぜ名品があるのかなどを、日本の近代以降のコレクションの経緯などを見ていきたい。
1〜5月に訪問した「気になる」展覧会
*「生誕150周年 横山大観展」(東京国立近代美術館)  
・メンバー5人中3人が挙げました。好き嫌いは別として、やはり大観の画業をこれだけまとまった形で見ることができたという点が一致した評価です。
*「明治150年展 明治の日本画と工芸」展(京都国立近代美術館)  
・全体構成より、「温故図録」という陶磁器の図案奨励書やワグネルによるグラデーションを表現した陶板「旭焼」など、なかなか見ることができない貴重な展示が魅力です。
*「常設展示:平福穂庵・百穂展」(仙北市立角館町平福記念美術館)  
・たまたま旅行時に立ち寄った穂庵、百穂父子の展覧会。小田野直武と同郷で秋田蘭画を広く世に紹介した平福百穂と父穂庵の絵画を見ることができたのは、この地ならでは!  
 以上、メンバーのいろいろな想いが詰まった個人テーマが出そろい、「気になる」展覧会の紹介も交え大いに盛り上がり、あっという間にタイムオーバー。久々にビジネスラウンジでの、とても濃密なLABOでした。皆さまに感謝! 次回は東博(常設展示:自分のテーマと関連する作品を探して話し合う等)を中心に上野エリアのフィールドワークに決定しました。

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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