• トップ
  • 会員案内
  • サークル概要
  • 認定講師制度
  • 資料請求

イベント案内

過去のART LABO
ART TRANSIT TOP > イベント案内 > レギュラーイベント > ART LABO > 過去のART LABO

2017年10月7日(土) レクチャー:今までの振り返り&メンバーの情報シェア


アート・ラボは、ここ4ヶ月間、美術館での展覧会鑑賞、ギャラリーやキュレータの方訪問など、フィールド・ワークが続いていましたが、10月は久しぶりに教室です。

アジア・アフリカに関して調べてみようということで始めた今年のラボも、第3コーナーを回るところまで来ましたので、一度立ち止まって、ラスト・スパートに繋げようというわけです。参加は、コーディネータの山内さん、ART LABO事務局の川内さんに、メンバー5名です。  

情報交換は、アフリカのアート作品が意外に近くにあったという話から始まりました。現在日本人はODAや企業活動などでアフリカに行くことも、そんなに珍しいことではなくなっています。そうするとその繋がりで、贈答品として絵画作品を入手し、事務所の中に飾ってあるというようなことがあっても不思議ではありません。

実際にメンバーの勤務先の事務所の中にあると紹介していただいた、アルハッサン・アブドゥル・ガニフという作者の絵画作品は、西欧的洗練の中にアフリカ・テイストを感じる作品でした。  
次のテーマは、先月のアート・ラボの振り返りです。
9月は、マイケル・ソイなどのケニア美術を扱っている株式会社ニーマにお邪魔して、どのようにビジネスを行なっているか、またケニアのアフリカ美術の状況はどうなっているかを、伺いました。

ニーマでの活動にみるような、作家の発掘、イベントへの出展、人的ネットワーク作りなどの、地道な交流が、アートの伝播につながるのだという感慨を覚えます。
さらにニーマでも話に出た、ケニア・アートフェアの様子を、You Tubeの映像で見てみます。映像で見る限りでは、ショッピング・センターのようなところを仕切りフェアーが行われていて、現地の人と西欧の人どちらも観客のようです。作品は、手頃なサイズの絵画作品、それもアフリカを感じさせる絵画作品が多そうです。

西欧への売りやすさということを意識しているのかもしれません。このような映像をみると、アフリカの美術の現状がどうなっているのか、その市場がどうなっているのか、興味がますます湧いてきます。 

メンバーさんのお仕事先の事務所にあるアフリカ作家さんの作品

先月のアート・ラボの後、ドイツのカッセルで5年に一度開催されるドクメンタと、同じくドイツで10年に一度開催されるミュンスター彫刻プロジェクトを視察に行かれた山内さんから、その両イベントでのアジア・アフリカの取り扱われ方に関して報告をいただきました。

ドクメンタでは出展者252組中、アジア系は27組、アフリカ系は14組です。さらに地域ごとの構成を見るとアジアでは中近東、南アジアが目立ちます。
またアフリカは北アフリカ、フランス語圏、南アフリカとカバーされています。出展者の比率だけを見れば、特にアジア・アフリカに焦点が当たっているということはないようです。これは、今年のテーマが「アテネから学ぶ」であったせいかもしれません。
その中でアジア・アフリカの作家がどのような作品を出展しているかをみると、トルコの1970年生まれのBanu Cennetoğluは装飾的な陶器のタイルを組み合わせて壁のようにするインスタレーションを行なっています。
またセネガルの1965年生まれのPélagie Gbaguidiのインスタレーションは、淡い色の模様が描かれた白い布を天井から何本もたらすものです。
どちらも、地域的アイデンティティを感じさせる作品のように思われます。

アジアやアフリカのアートを論じるとき、市場やキュレータから求められる「らしさ」と、作家自らのアイデンティティの関係がどうなっているのかは、大きなテーマとして残っていると言えそうです。
ミュンスター彫刻プロジェクトでは、新作出展者35組中、アジア系は日本人作家2人を含む6組。アフリカ系3組となっていました。こちらも、アジア・アフリカは特別扱いでなく、普通に展示の中に含まれていると言ってよいでしょう。
また、国内に目を転じると、横浜トリエンナーレではアジア(日本を除く)系9組、アフリカ系3組。
群馬県で開催された中之条ビエンナーレでは、国際プログラムで、中国、タイ、イスラエル、ポーランド、ブルガリアの参加がありました。
いずれにしろ、様々な国際展で、一定の数のアジア・アフリカの作家が出展するようになっていることは間違いないでしょう。
そのような中から、我々は新たなアジア・アフリカに気づくこともあると思われます。今後も、まめにフォローして行けば新たな発見があるかもしれません。  

最後に、WEBで活動ぶりが確認できる作家や、日本で個展を開いたことがある、アジア・アフリカの作家を確認してみました。

トーゴ生まれ、シュトットガルト在住の作家Abdoul-Ganiou Dermaniの作家活動にはWEBで触れることができます(http://ganioudermani.jimbo.com/)。

テヘラン出身で神奈川在住のGlmaryam Masood Ansariは10月8日まで銀座のGallery Nayutaで個展を開催しています(「Damaged Vagina」Gallery Nayuta 東京都中央区銀座1-9-8奥野ビル511 2017/9/28-10/8)。

ルワンダ生まれのAugustin Hakizimanaは日本でも個展を開催しています。  

今年も早くも10月ですが、今までの活動を振り返ってみると、アジアに比べて情報も乏しかったアフリカに関して、興味を持てるようになったことが、大きな変化だといえそうです。
しかし、まだまだ、アジアやアフリカのアート業界の状況も、作家も、作風も、わからないことが多いというのも正直なところです。
そんな状況ですが、年内に、ある程度のまとめをするために、ここで、少しアート・ラボ・メンバー個人で作業を行ってもらうことになりました。

来月のアート・ラボまでに、各メンバーが気になるアジア・アフリカの作品を3作品選び、その理由を次のラボで説明するというのが課題です。
その時、変化の大きいアジア・アフリカの作品を理解するために、少なくとも作品の制作年、作者の生年はメモしておくようにします。来月、皆さんがアジア・アフリカのどんな作品を選ばれるか、どんな視点で話されるか、今からたいへん楽しみです。

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
過去のART LABO一覧に戻る
PAGETOP