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2017年8月5日(土) フィールドワーク:「サンシャワー展」とオオタファインアーツ訪問 


8月のART LABOは美術館やギャラリーを訪問するフィールドワーク。先月に引き続き東南アジアがメインの対象地域となりました。
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午前10時前に六本木の国立新美術館の1階ロビーに集合。開催中の『サンシャワー 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで』に伺いました。

国立新美術館と森美術館を会場として共同開催されるこの『サンシャワー展』は、1980年代から現代に至る東南アジアの現代美術の発展を再検証する目的で、両美術館と国際交流基金アジアセンターの3者が共催で調査・プレイベント・企画会議を進めてきた「SEAプロジェクト」の成果を世に問う大規模な展覧会です。

当日はあいにく企画担当の方のご都合がつかず、この方に事前取材をしてくださったファシリテーターの山内さんによる解説をお聞きすることから始まりました。 文化人類学者で元文化庁長官である国立新美術館の青木保館長と森美術館の南條史生館長の発案が契機となったこの「SEAプロジェクト」は、国立新美術館と森美術館のキュレーター合計10名に東南アジアの新進気鋭の4名のキュレーターを加えた14名が企画に参画、過去2年半及ぶ東南アジア10ヶ国の調査出張によるリサーチと各地域・分野の専門家との交流を経て今回展覧会として結実したものです。
山内さんからは、作品輸送上の困難(多くの国では現地の運送業者が不慣れ)、特殊な作品素材の取扱い(ワニ革はワシントン条約に関する手続きが必要)や日本での代替品調達(日本で調達した大量の糸は現地で作家が想定した色味よりもマイルド)に関するエピソードに加えて、作品傾向(政治的なテーマが多い)、作家の留学先(アジア向けの文化政策に注力する豪州が多い)、各国の美術館整備の状況(近年、シンガポールがアジアのアートのハブとして成長しつつある)などが紹介されました。

解説をお聞きした後はいよいよ展示の鑑賞です。広い展示会場内は5つの章に分かれて膨大な数の作品が並んでいました。大きなインスタレーションや映像を含む各作品は作家の出身国の政治や社会の状況に対する鋭い問題意識を反映したものであり、作品の意味を考えながら鑑賞するのには予定の1時間ではまったく時間が足りず、とりあえず下見という程度でひと巡りし、後の機会にじっくり鑑賞することにせざるを得ませんでした。


次に、メンバーは国立新美術館を離れ、裏通りを抜けて六本木交差点を越え、森美術館にもほど近い場所にある「オオタファインアーツ」に伺いました。東アジアから東南アジア・中東に至る「アジアの帯」を視野に企画展等を開催しているギャラリーです。

今回はここにアルバイトのスタッフとして勤めている美大の大学院生4名の作品展『Assistants』を拝見しました。4名のうち2名がアジアに背景を持つ若手の作家です。 応対してくださった係の方からは、東京とシンガポールに営業拠点を置いて上海・香港・ドバイ・ジャカルタのアートフェアにも次々と出展するなど旺盛な活動を踏まえたお話をお聞きでき、欧米やアジアのコレクターの需要を引き付けるアジアのアート市場のダイナミックな動向を垣間見ることができました。
同展の出展作品は作家の出身国・地域の政治や社会の状況を批判的に捉えた内容のものが非常に多いのですが、これらの作品を観ることは、国際ニュースに日々接しているつもりであった私には、東南アジア各国の詳しい動向を実はよく理解できていなかったことを厳しく突き付けられる機会になりました。そもそも国旗を見てもどの国のものかの区別さえ不確かでは、作家の意図や主張の理解などは到底覚束ないと認めざるを得ません。

何もただ国際的なアート市場の動向に追随していれば良い訳ではないものの、作家の生きる国や地域の政治・社会の状況を知ることが先立つ重要事であり、それがあってこそ真に深く彼らの作品を理解することができるのでしょう。 そんなことを考えながら、当日の午後は国立新美術館に戻って『サンシャワー展』に再入場し、夜9時の閉館時刻ギリギリまでかけて可能な限り多くの展示作品の鑑賞を続けました。(終)

東南アジアと一括りにとらえられがちですが、アイデンティティも政治も宗教も言語も異なる国の集まりであるASEAN諸国。今回の作品を通じて、ASEAN各国の個性が感じられると、アートもさらに面白くなりそうですね。

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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