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2017年6月3日(土) フィールドワーク「清水敏男さんにアフリカ現代美術についてお話を聞く」


清水敏男さんは、アートディレクターとして活躍されるとともに学習院女子大学の教授をされています。
これまで様々な展覧会やアートイベントに関わっていらっしゃいました。
 今回は、清水さんが1998年にキュレーターとして深く関わった「アフリカ・アフリカ」という展覧会のお話を軸に、アフリカの現代美術の状況についてお話を伺いました。  

まず「アフリカ・アフリカ」という展覧会名について。
 アフリカは非常に広大な大陸であり、サハラ砂漠を挟んで北と南に大きく分かれます。
そして主に英語を話す東とフランス語を話す西のアフリカ、宗教的にはキリスト教とイスラム教、など様々なアフリカが同時に存在し、複雑に絡み合っています。
ステレオタイプになりがちなアフリカのイメージを分裂させたいという意図を持って、アフリカを2回繰り返すこの展覧会名がつけられたということです。
ベルリンの壁が崩壊した1989年。
パリのポンピドゥーセンターで「大地の魔術師たち」という重要な展覧会が開かれました。これは文化におけるベルリンの壁の崩壊とも言えるもので、西欧の美術と非西欧の美術の壁が取り除かれ、並列に置かれるという象徴的な出来事でもありました。
 第三世界の美術との出会いと衝撃を通して、そもそも美術とは何かという大きな問いが投げかけられ、各国のキュレーターや学者たちはアジア、アフリカに大きく目を向けるようになっていきます。  
アフリカから地理的には遠く離れた日本においても、アフリカと似た問題意識を共有しているのではないか、と清水さんは言います。
明治期以降、西欧文化を丸ごと受け入れてきた歴史の中で、近代以前から続く日本文化の存在をどのように捉えるのか。 美術という言葉自体が近代西欧の文脈に基礎を置くがために、工芸や装飾品、仏像などの立ち位置が曖昧になっている現状があります。
そのあたりを見つめなおす上でも、アフリカを参照することは有効であると思われます。


また、アフリカのアーティストを理解するにあたって、大きくカテゴリ分けをするならば、三つに分類できるのではないかと清水さんは言います。

一つ目は宗教画や看板、家や棺桶などを装飾する職人たち。外からやってきた西欧のキュレーターたちなどによって見出され、アーティトとして活動するようになっていきました。

二つ目は南アフリカで教育を受けたアーティト。アパルトヘイトなどに端を発するアフリカの現実に向けて批判的な問題意識を持って制作するアーティトたちも含まれます。

三つめはアフリカ全般のアーチストで、ヨーロッパなどに留学し、西欧式の教育を受けたアーチストたち。彼らは初めから世界のマーケットを意識してグローバルに活躍しています。多彩で豊かな表現の中に西欧にはない感性を含んでいる場合も多くあるようです。  
展覧会のカタログを見ながら、それぞれのカテゴリの作家たちとその作品を多く紹介していただきました。
また、現地で取材した時のことなど、非常に興味深いお話もたくさん伺いました。
私たちはアフリカと聞くとどこまでも続く砂漠や、未開な部族が多く存在し動物などの自然と共に生きている、というような乏しいイメージしか持たない場合がほとんどですが、アートや美術を通してアフリカの様々な側面を知り、知ることを通してまた、遠く離れた日本に住む自分たちの存在を深く見つめ直すきっかけになるのではないかと感じました。  

最後に清水さんの事務所近くにある学習院女子大学に出向き、そこで行われていた展示を見学しました。ベナンのアーチスト、トクダクバや、カメルーンのタイユの作品などを見ながらレクチャーを受けました。アフリカの大地に想いを馳せながら興味の尽きない時間を過ごすことができました。

私たち日本人にとって、どこか遠いイメージのアフリカ。そしてそこで誕生した様々なアート。西欧というフィルターを通さず、日本人の感性と審美眼で、純粋にアフリカのアートを観るということ。
そこには、何か我々のアイデンティティと共感するものがあるのかもしれないという期待が少しずつ膨らんできました!

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では絶対に得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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