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2013年4月6日(土) わたしたちのイタリア・ルネッサンス 勉強会

4月6日にアートラボ第三回目を開催しました。
今回から、「それぞれのルネサンス」と題した共通テーマでの勉強会が始まりました。年内いっぱい、このテーマで調査や研究を行い、ART LABOとしての成果として残したいと思っています。

今回は、各自ルネサンスに対して興味のあること、調べていきたいことを発表し、今後の方向性を確認しました。

ボッティチェリといえばプリマヴェーラヴィーナス誕生が有名ですが、H氏は昨年6月から9月まで国立西洋美術館で開催されていた「ベルリン美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」で、ボッティチェリによるダンテ『神曲』の挿絵が展示されていたことに触れ、「知らなかったボッティ チェリ」について、調べていきたいとのことでした。また、ヴィーナスのモデルはジュリアーノ・デ・メディチの愛人でフィレツェ一の美女「シモネッタ」なのか?ボッティチェリの作風が、ロレンツォ・デ・メディチの死後、政治の腐敗を批判したドメニコ会の修道士「サヴォナローラ」に傾倒して変化するのはなぜ か?など、周辺の人々についても興味は尽きないといった感じでした。 

前回、アートへの視線を「歴史」というキーワードでお話しくださったT氏は、25年前のフィレンツェ旅行時に作成した「ルネサンス・ノート」を携えて参加。今回はルネッサンスの作家たちの誕生から没するまでを整理した年表を作成して下さいました。チマブーエからバロックのカラヴァッジョまでの年表を 見ると、14世紀の後半に作家が不在で、ぽっかり穴が開いていることに気が付きます。これは1347年(1346年とも)に中央アジアからイタリアのシチ リア島に上陸したペストの流行が影響しているのだということでした。また、ペスト流行後のカトリック教会の歴代教皇の年表も作成して下さり、今後のルネサンス研究に大いに役立つ資料となりそうです。

S氏は、ハインリヒ・ヴェルフリン著『古典美術イタリア・ルネサンス序説』ラファエロの章をお読みになり、ラファエロのペルジーノの影響の強い時期から、徐々にフィレンツェ風に作品が変化していく様子をパワーポイントでわかりやすく解説してくださいました。たとえばペルジーノ的な大公の聖母テンピの聖母では動きが感じられ、椅子の聖母ではより彫塑的になるなど、並べてみると非常にわかりやすい変化でした。本の中では作品はモノクロで掲載されていたので、カラー画像を探し、パワポ資料を作成したそうです。今後も、ラファエロの図像を調べていくそうです。

日本や中国美術が得意というMさんは、「制作する人のことを忘れないように」という気持ちから、ルネサンスの大発見である遠近法について美しいカラー資料を作成して発表されました。遠近法前の絵画として、古代エジプト壁画やチマブーエ厳格の聖母を提示、当時の遠近の表現に触れ、その後ジオットカナの婚礼≫≪降誕と羊飼いの告知で遠近法誕生の兆しを、1409年頃のブルネレスキのサンジョバンニ礼拝堂の板絵を経て、ブルネレスキが『絵画論』 で理論化したことで確立する遠近法の流れをお話しされました。ご自身も、絵を描かれるとのこと。先生から「奥行きがないね〜」と言われた事がきっかけで調べてみたとのことで、ご自身の絵画制作に役だったそうです。今後も描き手として、ルネサンスと向き合っていくそうです。

Sさんは、『Pen BOOKS ルネサンスとは何か。』を読んできてその感想を述べられました。ルネサンスは興った理由が、十字軍遠征の話から始まったことに大変興味をもったそうです。11世紀末から13世紀後半まで繰り返された十字軍の恩恵を最も受けたのがベネチア。経済活動が活発になり、商人の政治に対する影響力が強くなり、彼らは職種ごとに組合を作るようになります。こうしたギルドを基盤とした社会が、ルネサンスを生んだとのこと。そのほか にもルネッサンス期のネオプラトニズムや一神教との結びつきなどに興味があり、哲学や宗教からのルネサンスを掘り下げてみたいとのことでした。次回は『Pen・・』の要約も含め楽しみです。

Yさんは、お友達からダヴィンチの真作かとの論議がある肖像画『美しき姫君』のポストカードを送られ、それもきっかけとなって、ダヴィンチの本を数冊読んだそうです。ダヴィンチは庶子であったことが作品に影響を与えているとか、モナリザのモデルはマダム・ジョコンダかマントヴァのイザベラ・デス テかとか・・・ダヴィンチに対する話題は山のようにある中、今後ダヴィンチの何に焦点を当てて調べるかを模索中とか。

私からは、ルネッサンス時代のファッションについて話しました。15世紀、フランスなどが未だゴシックスタイルのモードの中、イタリアはルネサンスファッションが流行しました。小さくまとめた髪形にハイウエストのドレスは豪華な布地で、当時のイタリアは世界で一番豪華な絹織物を生産していました。特 徴的な柄は「ザクロ」。始めはキリストの受難の象徴でしたが、徐々にその意味は薄れ子孫繁栄の柄となります。そのほか、下着をスリットから引き出すデザインや男性の股間を強調するブラゲットなど、ルネサンス時代のファッションを紹介しました。今後も、ルネサンスのモードを報告いたします。

次回、ART LABO第4回目は中目黒の写真・ギャラリーPOETIC SCAPEの主催者である柿島氏をお招きして、アート写真についてお話しを伺います。アート写真の観かたやアート写真はどのように制作されるのか。アーティストはなぜ写真を選んだのか、これからの課題は?・・・など、いろいろ 質問をしながら楽しい会にしていきたいと思っております。ART LABOにまだ参加していない方、仲間になりませんか?とても楽しい時間を過ごすことができますよ。                       (アートナビ会員 中村宏美)

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