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イベント案内

過去のART LABO
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2021年8月7日(土)ディスカッション「個人テーマの中間発表」


8月のARTLABOは、オリンピックと新型コロナ第5波の影響を回避するため、zoomを利用したオンラインで実施されました。
今回は本年のテーマ「写真・映像」に基づき、個人テーマの中間発表を行いました。10名のメンバ−の進捗の様子は以下の通りです。

Aさん)

1980年以降生まれのいいなと思う写真家10人をピックアップ予定。今回はそのうち、近年、天王州アイルIMA galleryで発表された3人の写真家とその作品の紹介。

@市田小百合…アメリカ中部在住。ファッションフォトグラファーより転身。作品について、人に焦点を当てるというより、背景や自然の中の人のかたちや動きに対し興味があるのではないか。アメリカで活躍する日本人として日本人の身体をどう表現していくか、そこに興味を持ったのではないかと感じさせる作品。A小池健輔…人の顔のコラ−ジュ。無名の市民の白黒写真を発掘しコラ−ジュしたファウンドフォト。イタリアでも評価されている。BNerhol(田中義久、飯田竜太)…同じ人物を連続撮影した200枚の写真を重ね彫刻等で彫る「Misunderstanding Focus」は、上下の階層で少しずつ異なった表情を見せるという斬新な作品。

Oさん)

作家の制作動機に興味あり。ありえない組み合わせ、驚くような作品を探索中。

 

SAさん)

マイナ−・ホワイト(1908-1976 アメリカ)に注目。「Surf Vertical」等、自己の内面、精神性をストレートフォトで表現。モダニズムのメンタ−的存在、ピクトリアリズムからの脱却を果たしたスティーグリッツに影響を受け、また日本の禅や神秘主義にも傾倒、実践もした。今回は影響を受けたとされるスティーグリッツについても概観。今後はモダニズムという流れの中で、日本でも内面を表現する作品について見つけたい。

 

SHさん)

アンドレアス・グルスキ−(1955- ドイツ) クリスティ−ズで史上最高額の写真として落札された「ライン川U」や「パリ・モンパルナス」を紹介。写真というよりは、絵に近い感じかなと。

個人的には写真には今もあまり関心が持てない。加工されたものには少し興味はあるが、美術館で飾られていると面白味が感じられない。みなさんはどう思われているのだろうか。

⇒写真が好きな人は音楽やダンスなどカルチャ−全体を好きな傾向があるように思う。

⇒絵画や彫刻は作家のアタマの中を見るものだが、写真はそれを見るのが難しい。作品は内面的なものを表現しているのだろうけど、見る側は現実を見るものとしての媒体として捉えてしまう。

⇒写真は絵画と違って誰でも撮れてしまう、技術的なハ−ドルの低さがア−トとしてみなしにくい原因となっている。

⇒ストレート写真でも、なんでこういう風に撮っているのだろう、切り取るのだろうと考えて観ると面白くなった。写真が記録なのかどうか、その辺りの狭間の曖昧さが面白いと思えると面白くなれるのかなと。

⇒美術館に提示された作品として観る場合、五感が刺激されたり物語を感じることができる。実際、対話型鑑賞では写真を素材にしたプログラムはとても盛り上がる。絵画よりもいろいろな感じ方が出てきて自分の観方さえ変わってくる。

 

SSさん)

メディア・ア−トの三上晴子に関心があるが、今回はその前にメディアとは何であるのか、 レフ・マノヴィッチ「ニューメディアの言語」(2001)を通して学んだ。

ニュ−メディアとは、デジタル、モジュール性、自動化、可変性といった特徴があり、情報処理の技術的レイヤーの特性が文化的レイヤーに影響している。ギャラリーの壁にあたる、ニューメディアの代表的なインターフェースはウェブブラウザである。四角い複数の領域がありクリックによって選択する。いずれにしても、コンピュ−タ−というフィルタ−を通してメディアにアクセスすることが特徴である。選択(クリックする)、合成(カットアンドペ−スト)、遠隔操作といったオペレーション。当初、20世紀の視覚をコンピューターで作り出すことをしてきたイリュ−ジョン(ハリウッドが違和感なくウソを作ることを目的にとしたことに対し、ミュージックテレビの映像は合成を隠さないところが革新的)。ニュ−メディアだからできるかたちとして、データベ−ス、インタラクティブな3次元仮想空間といったフォ−ムも特性であると言っている。これに関連し、データベ−スア−ト George Legrady(1950- ハンガリー)An Anecdoted Archive from the Cold War」の紹介。

 

SYさん)

「美術作品としての写真」の在り様を考える。モダニズム以降、ニュ−カラ−を経て現代に至るまでの写真の系譜をホンマタカシ氏のマップを参照し概観。「決定的瞬間」という第一の山から「ニュ−カラ−」という第二の山に至るにあたり、キ−ワ−ドとして主観的と客観的という対立が出てきている。主観的とは撮る側の視線であり、客観的というのは対象へのまなざしである。シャッタースピードを遅くして画面の隅々まで全体を表現する、焼き付ける、等価値であるのがニュ−カラ−の特徴であるなど。

また、今日の写真をめぐる四つの視点として「ストレ−トからセットアップへ」「大きな物語から小さな物語へ」「写真が美術に接近/美術が写真に接近」「あらゆる境界線のあいまへ」があげられる。いずれの写真の傾向も、写真を使ってどういう風に表現をするかというところがポイントではないか。表現というところに力点が置かれている。

今後は、日本の写真需要の源流となった、1985年に石原悦郎が中心となり立ち上げた「つくば写真美術館」に注目。現代美術もそうだが、キュレーターが作品の価値観やその後の傾向を作ってきたのではないか。しかけや展覧会が「美術作品としての写真」というテ−マを考える時、結節点となると考えている。

 

Tさん)

秋岡美帆「ゆれるかげ」を取り上げる。埼玉県立近代美術館でガイドをした際、こんなにピンボケなのは写真ではないと盛り上がったもの。写真家がクスノキと一体となる感覚を作品にした。美術との境界が曖昧で、埼玉では収蔵品の分類が「版画」となっている。

(東近美では「絵」として収蔵)。撮影は流し撮り、スローシャッター、アウトフォーカスの3つを組み合わせており、意図的に曖昧にしている。印刷方法はNECO print。麻紙に焼き付けており、細かいドットにより後期印象派の点描をイメージさせる。なぜ今回これを取り上げたかというと、一見するとこれはなんだ、こんなの写真じゃない、それでは写真とは絵とはなんだという疑問があり、その辺を今後は考えてみたい。

 

Yさん)

杉本博司を取り上げる。最近では森美術館「STARS」の一員として取り上げられている。そこで杉本博司が建設に関わった、小田原文化財団「江之浦測候所」について知り見学してきた。杉本氏は太古の昔に人間が意識を目覚めさせた時、はじめに天体を意識したと考えた。測候所の中には、春分、秋分、夏至、冬至をテ−マにした日が入る場所が設けられている。例えば、夏至の日の出に関しては、100メ−トルギャラリーというガラスで作られた非常に長いギャラリーがあり、夏至の日には日が差し込むようになっている。日本各地から運ばれた建築が移築されていたり、様々な由緒正しい石が置かれており、海からの景色もあって印象としては大人のテ−マパ−クのよう。杉本博司について現代ア−チストや写真家であるというのは一部でしかなく、非常に多くの側面がある。建築家ではないが園芸も含め造詣が深いマルチな人物であり、写真についても、単なる作品からア−トというものへ高めていったと思う。

今後は、杉本氏が写真を使い何を表現したいのか、いろいろなことに携わる中での考え方や哲学について、様々な著作を読むことを通して考察したい。


TDさん)

写真の様々な技法について興味がある中で杉本博司にフォーカスを当て、版画と写真の境界線をテ−マに絞っていこうかと考えている。印画紙に発光させてイナヅマを表出させたり、絵画的な技法の写真を制作するなど、一見、写真とは思えない疑ってしまうような作品もあるので、そういうところにフォーカスできたらと思っている。また、他にも様々な写真家と写真技法のバラエティについてまとめていけたらと考える。

Hさん)

2007年に東京でも作品展を開催した、グレゴリー・コルベールの作品を取り上げる。映像作家であり写真家のグレゴリー・コルベール(1960- カナダ)は、2002年のベネチアを皮切りに移動式建造物、ノマディック美術館で「Ashes and Snow」を開催。

読むのではなく体感する映像と写真の世界。ホンママップでいうところの、私的な物語をア−トの文脈で提示した、美術としての写真と考える。

現在、開催当時のパンフレット等資料を収集中。発表当日は入手したDVDの鑑賞を通し、当時の様子を共有できればと思う。                                           (M.H)

 

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度いらしてみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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