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2018年12月1日(土) 2018年の総まとめ
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12月を迎え、2018年のアートラボもまとめの会となりました。本年度のテーマである「明治再検証」、今回は、各自が独自の年間テーマを決めて調査した結果を持ち寄り発表しました。 メンバーの着眼点はそれぞれ違い、誰一人として同じテーマはありません。 資料もたくさん揃え、気が付けば予定時間を1時間もオーバーしてしまいました。 各自のテーマと要点は以下の通りです。 @ 「明治初期に於ける西洋絵画の修得」 ・明治初期の洋画家はどのような状況で何を西洋から学んだのか ・フランス絵画の影響と結果 ・黎明期の指導カリキュラムと歴史画の構想 ・構想画、理想画の限界とアカデミズム ・「想」とは何か |
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A 「明治中期以降に加速する美術制度の確立と大衆化」 ・ジャーナリズムと世論 ・文展とヒエラルキー ・活気づいたジャーナリズムと権威性 ・大衆に価値判断を求めない受容モデルの成立 B 「浅井忠と明治洋画 西洋の受容と制度」 ・写真、地図、記録としての洋画 ・武士階級の消滅と職業画家 ・洋画は何処に飾るのか ・浅井忠と黒田との相違とその後の画壇への影響 C 「日本画誕生 −菱田春草を中心に−」 ・伝統絵画の優位性 ・列強諸国と肩を並べる ・装飾的画面と色彩 ・箱庭でない自然の捉え方 |
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D「西洋絵画の導入」 ・お雇い外国人との関係 ・4段階に分けられる導入の流れ ・オランダ、イギリスからイタリア、フランスへ ・西洋との時間的比較 E 「岡倉天心と明治」 ・日本美術史の講義とテキストの完成 ・著作から見る傾向 何故英語で書いたのか ・東京美術学校と日本美術院 ・積極的に海外に発信する力 F 「明治陶器の超絶技巧はなぜ失われたのか −ゴッドフリート・ワグネルの功績と重ね合わせて−」 ・高度な技術の確立と上絵付業の成立 ・欧米の不況並びにブーム停滞による輸出不振 ・ワグネルによる西洋技術と美術概念の提唱 ・質の低下の改良と、日用品と美術品との分化 ・本来の淡白さを求められたことによる様式の変化 |
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以上がメンバーそれぞれの調査結果であり、疑問点や、さらに関心を抱いたことなどを話し合いました。 根底に共通していることは、やはり外国との接触・美術概念の導入・制度の確立・個人の資質とタイミング、ということになります。 明治に始まった美術の様相、アカデミックや制度の問題はその後の時代へ影響を与えただけでなく、現在においても基盤となっているものがあるようです。 自身のテーマを決めて取り組んだことで、より踏み込んだ考察が出来た一年でした。 続いて来年のテーマを決定しました。 来年は「1960年代から1980年代の美術を探る」です。 日本で初めての公立美術館が誕生して以来、1960年代から1980年代の間は都道府県ごとに公立美術館が整備されてきた時代です。それは美術の場の成立とともに、展示スタイルの確立の時期でもあります。70年万博を一つの頂点として様々な表現方法の出現が起こり、物質や場についての概念も変わっていきます。 また海外に目を向ければ、文化大革命の渦中にあった中国や朝鮮戦争後の混乱から抜け切れていない韓国、またベトナム戦争や東西冷戦など、激動の時代でもありました。その中での美術はどの様なものであったか、メンバーの視点の相違による多面的な探求を試みます。 |
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また年明けの一回目は、2018年の年間アワードを行います。果たしてどんな展覧会が最優秀となるのでしょうか。お楽しみに。
先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。 ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪ |