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2018年8月4日(土) フィールドワーク「聖徳記念絵画館+明治記念館」
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8月のART
LABOでフィールドワークの場所として訪れたのは、明治神宮外苑の中にある聖徳記念絵画館です。 その特徴的な外観が存在感を放っており、存在は知っていたものの、一度も入ったことのなかった場所です。 どんなものが展示されているのかわくわくしながら入館しました。 聖徳記念絵画館は大正15年に竣工し、国産大理石で覆われたのべ250mの壁に、明治天皇の業績を描いた80枚の壁画が時代順に展示されています。当時の一流画家たちが厳密な時代考証のもと幕末から明治の様子を描いた絵画は、当時の服装や文化、政治上の出来事を示す貴重な資料にもなっています。 |
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ART LABOでは、80枚ある絵画の中からメンバーそれぞれが1枚の絵を選び、それを選んだ理由を話してディスカッションを行いました。
まず最初に選ばれたのは、木村武山による「徳川邸行幸」。水戸徳川家の当主である徳川昭武の邸宅に行幸した際の様子が描かれます。満開の桜が画面いっぱいに広がる大胆な構図がひときわ目を引き、画面下部を悠々と飛ぶ鳥の姿がアクセントになっています。 |
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続いて選ばれたのは、前田青邨の「大嘗祭」。大嘗祭とは収穫物を天照大御神に供えて五穀豊穣を祈る儀式です。 儀式が行われた悠紀殿の屋根が画面のほとんどを占め、平行・垂直・45度の線で構成された画面はまるで現代のデザイナーがデザインしたかのようなセンスです。 この絵の奉納者は津和野藩主の亀井茲常(かめい これつね)。亀井家は芸術に造詣が深く、津和野は「山陰の小京都」と呼ばれるほど文化が栄えました。 続いては五姓田芳柳 (2代目)の「枢密院憲法会議」。この絵が選ばれた理由は少し変わっています。遠近法の感じがなんとなくギクシャクしており、画面の明るさや影の描き方もどこかぎこちないものです。 洋画が入りたての草創期の様子が現れているように感じられ、当時の日本画壇の状況に思いをめぐらせながら鑑賞しました。この絵の舞台となった赤坂仮皇居は、後に移築され、結婚式場としてよく使われる「明治記念館」となりました。 ←外に、樺太に残された当時の国境画定標石の復元 |
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最後は北蓮蔵の「岩倉邸行幸」です。明治維新の立役者である岩倉具視が病床に臥せっているところを見舞う天皇を描いたものです。岩倉具視はこの翌日に亡くなったそうで、それを知って見るとなかなかドラマチックな場面です。病床の周りには氷の柱がいくつも立っており、「当時の夏はそうするのが一般的だったのかな?
それとも病気だからかな?」と想像をふくらませていました。 その後、駅まで戻る道すがらにあるということで、明治記念館にも足を延ばしてみました。 当日の建物も残っていたり、建物の中には、たくさんの日本画家の作品が飾られていました。 中には「おお!」という有名作家の作品まであり、皆さんと驚きながら見学いたしました。 神宮外苑という都心の真ん中にありながら意外と訪れる機会が少ない聖徳記念絵画館。じっくり鑑賞しながらART LABOのメンバーと意見を交わすことで、明治期の絵画を堪能することができました。 |
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