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過去のART LABO
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2016年9月3日(土) フィールドワーク「松涛美術館」


9月のART LABOはフィールドワークです。  
訪問したのは、渋谷区立松濤美術館。井の頭線の神泉駅にほど近い閑静な住宅街にたたずむとてもステキな美術館です。建築家、白井晟一氏の設計による石造り風の印象的なエントランス、吹抜けをもつ内部空間はともに曲面を基調とした造形で、特別な展示空間を演出しています。    

今回は企画展「サロンクバヤ シンガポール麗しのスタイル 〜つながりあう世界のプラナカン・ファッション〜」を観覧しました。この展覧会は、シンガポールの「プラナカン」と呼ばれる中国やインド系移民の子孫が纏った女性用民族衣装「サロンクバヤ」やジュエリー、ビーズのサンダルなど約140点を展示したものです。
まず、ひととおり作品鑑賞。サロンクバヤっていったい何?初めての体験でしたが、地下一階から始まる展示室に入ると、その美しさに驚かされました。この民族衣装は「サロン」という筒状の腰布と「クバヤ」あるいは「バジュ」という前開きの上衣の組み合わせが基本だそうです。サロンの素材となるのはジャワ更紗(batikバティック)。

その意匠と色彩、精緻さに目を奪われるばかりです。18世紀から20世紀にかけて時代を追った展示になっていて、時代に応じた素材や意匠の変遷にも興味深いものがあります。展示室入口の右側にマネキンに着せられたシンガポール航空客室乗務員の制服が展示されていましたが、これがサロンクバヤ(同社ではサロンケバヤと呼ぶらしいです)をもとにピエール・バルマンがデザインしたものとか。   


次に、地下二階のホールで学芸員の平泉さんから本展の企画・準備のポイントを伺いました。

本展はシンガポールの美術史家でプラナカン文化の研究者、サロンクバヤのコレクターであるピーター・リー氏をゲストキュレーターに迎えた福岡市美術館との共同企画とのことで、企画の経緯やシンガポールの関係者や福岡との連携、ファイナンス、作品移送や展示什器の調整、教育プログラムや図録、チラシの準備など詳細にご教示いただきました。 
引き続き、展示室に移動して作品解説を伺いました。

ジャワ更紗にもインド更紗で特徴的なノコギリ紋様が引き継がれていること、伝統的には上衣よりも特に重視されたのは腰布のサロンのほうでヴァリエーションが豊富なこと、サロンの巻き方は日本と異なり右前・左前の厳密な区別はないこと、藍色のサロンは服喪の意味があること、正装する場合、展示されているような金や宝石の3点ブローチで上衣の前身頃を留めること、時代が下るにつれオーガンジーなど薄手の素材やミシン刺繍が表れるが、20世紀後半には洋装に移行するためサロンクバヤの進化は止まり、伝統衣装となったことなど、大変興味深いお話しを伺うことができました。 。  




そのほか、実際にバティック制作(蝋纈染)をされているART TRANSITスタッフがご自分の道具(チャンチン)と作品を持参くださり、溶かした蜜蝋で染残しを描いてゆく制作過程をわかりやすく説明してくださいました。その後も展示室に引き返し、もう一度ゆっくりと鑑賞。

サロンクバヤとのステキな出会いを堪能した9月のART LABOでした。

 

それにしても・・天気には恵まれましたが、美術館を出るころには猛暑。この暑さはいつまで続くのでしょうか。(記述YS

先生から何かを学んだり、イベントに参加したりという形では絶対に得られない「自分なりの学びと楽しみ」が見つけられる月1研究会ART LABO。
ぜひ、一度来てみてください♪ きっとそこには、楽しい仲間たちとの素敵な時間が待っていますよ♪
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