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2015年3月7日(土) 美術館へ行こう!


今月は、ART LABO発足3年目にして初めてのフィールドワーク「美術館へ行こう!」。

四谷のミーティングルームを飛び出してメンバー全員で現代アートの美術館を訪問しました。  

いつもより少し遅い午前10時15分にJR品川駅に集合。美術館に向かうのに先立って、高輪にある画家の料治幸子(りょうじさちこ)さんのアトリエに伺いました。

 

あいにくの雨模様の空の下、駅からの坂を上ってほどなく、高台のマンションの眺めの良い上層階の一室にあるアトリエに到着。 玄関のドアを開けてお邪魔すると、中は美術書籍や彫刻、古今東西の名画の絵葉書に囲まれた素敵な空間。

 

 画家ご自身の描かれた作品も何点か掛かっていました。踊る人の姿のような抽象的なドローイングは、実際に踊るダンサーを目の前にして一瞬で描くライブペインティング。水気を多く含んだ墨線が水彩紙の上を自由自在に飛び交う躍動感に溢れた作品です。

ファシリテーターの山内舞子さんによるご紹介から始まる料治さんとのお話は次から次へと展開しました。



コラージュ、デカルコマニー、フロッタージュなどドローイングだけに留まらない様々な制作技法への取り組み、師事した小坂圭二(こさかけいじ)さん(1918年-1992年;東北十和田湖畔の「乙女の像」制作時の高村光太郎の助手)の教え、評論家で画廊「新潟絵屋」代表の大倉宏(おおくらひろし)さん(1957年-;「現代画廊」画廊主・洲之内徹(すのうちとおる)の一番弟子)との緊張感ある関係、定期的な個展開催を継続しながらの創作活動、等々。

尽きぬお話をまだまだお聞きしたい気持ちに後ろ髪を引かれつつ、作品が生まれる場所であるアトリエを後にして、本日のもうひとつの目的地である美術館に向かいます
高輪の高級住宅街の中を抜けて15分ほど、現代美術を中心に取り扱う原美術館に到着。この日は、国際的に活躍する写真家・蜷川実花(にながわ みか)さん(1972年-)の個展『蜷川実花:Self-image』が開催中でした。

まず最初に約30分間の館内自由鑑賞。参加メンバーにとって勝手知ったる館内を思い思いに巡ります。 その後、1階の展示室に再集合し本展担当学芸員の方からお話をお聞きしました。


 美術館の建物が戦前の1938年(昭和13年)に実業家・原邦造(はら くにぞう;1883-1958年)の私邸として建てられた当時の邸内外の写真のご披露に続いて、本展についての解説です。

かつて「半径5m以内のもの」を撮影する「女の子写真」と評された華やかで幸福感に満ちた作風とは一線を画し、蜷川さんのダークな部分が前面に押し出されたのが今回の個展。

1階展示室は、華やかな色彩と隣り合わせにある闇や影の部分に目を向け新境地を開いたシリーズ『noir』(2010 年‐)の展示、一方、元私邸の寝室があった2階の展示室は、蜷川さんの私的な感情を川面に散る桜に収めた『PLANT A TREE』(2011 年)と、モノクロームのセルフポートレイトの展示となっていることをご説明いただきました。

無機質なホワイトキューブの空間とは趣と異にする原美術館各室での展示にあたって、作家はかなり苦労されたでしょう、とのお話が印象に残りました。

話題は展示室の照明にも及びました。天井には小さな突起状の照明器具が多数並んでいるのですが、これは7個ずつを一組として別の場所に置かれた光源機器から光ファイーバーで光を引いてきている構造になっているとのこと。

現在普及しつつあるLED照明の登場以前に展示室内での熱の発生を極力抑える照明を求めた工夫の賜物だそうです。


午前中の2時間に詰め込まれたたっぷりの内容を足早に体験した後、最後に原美術館のポーチを背景に参加メンバーで記念写真を撮影し、この日のすべての行程を終了しました。  

今年のART LABOは奇数月には外へ飛び出してフィールドワークを行う予定となっています。次は5月。
心待ちです。
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