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過去の美術めぐり
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2013年4月21日(土) 伊藤忠 青山アートスクエア「江戸切子若手15人」展

4月20日㈯に、伊藤忠青山アートスクエアでの「江戸切子15人展」を訪問しました。

このギャラリーは、青山通りに面していてとてもおしゃれな場所にあります。 伊藤忠商事のビルの隣のCIプラザにあり、とても分かりやすくカジュアルな気分でアートを鑑賞できる素敵なスペースとなっています。

伊藤忠青山アートスクエアは、新進アーティストなど若手を支援するという伊藤忠商事(株)の理念を実践する施設の一つで、今回のような若手作家の紹介の機会を多く手掛け、今後も企画していくとのことです。

江戸切子・・・というと、「日本の伝統」「古典的作風」「渋い、詫び寂び」といった印象が一般的かもしれません。そんな「江戸切子」と「今後を担う若手」と「トレンディな青山」の3つの出会いを楽しむ、そんな「美術めぐり」でした。

今回は、作家の堀口徹氏にギャラリートークをお願いしました。なんと、彼のアーティストとしての育ての親ともいうべき、ギャラリストの和田卓也氏も同席していただくという豪華なゲストを招いての「美術めぐり」でした。

堀口徹氏は、2008年に三代目秀石を襲名していらっしゃいます。切子は1834年に江戸で始まります。薩摩切子のほぼ10年前です。江戸切子が庶民の手による実際に使用する日常器なら、薩摩切子は薩摩藩主による藩の手厚い庇護の下、鑑賞用として誕生・発展したという違いがあります。1873年に、明治政府の殖産産業政策の一環として「品川興業硝子製造所」が開設され、日本での近代的な硝子生産が始まりました。1881年にイギリスから技師エマニエル・ホープトマンが来日し指導にあたります。その弟子、名人大橋徳松(大橋巨泉の祖父)の直系である堀口市雄は初代秀石、堀口徹さんのおじいさんです。

堀口さんの作品や他の方の作品の前で、たくさんのお話しをお聞きすることができました。多くの講演もされている堀口さんはとてもお話し上手で、切子の歴史、切子のつくり方、切子の将来など、「江戸切子周辺」の話題にまで精通していらっしゃるのには本当にびっくりしました。 でも、私たちの関心は、やはり「アーティスト秀石」としての作品にまつわる話。職人と作家の違い、作品に対する思いなど熱い心を伝えていただきました。

私からは、レジュメを中心に「江戸切子の歴史」「切子のつくり方」などを説明致しました。その後、ゆっくり作家15人の作品を鑑賞しました。

若手作家の方たちは、まったく経験も無く新しい切子の世界に飛び込んだ人、若い女性作家、サーファーの方など様々で、作風も「これも切子?」と思わせるような斬新なデザインがありました。

オープニング・レセプションのトークの最後にこんな話がありました。堀口さんが「江戸切子は日常の器としてもアート作品としてもまだ知名度が低い。」とお話しになると和田さんが「ギャラリストも陶器・磁器は解る、好きという人は多いが、硝子となるとわかる人が少ない。私もまだまだです」とのこと。もちろん謙遜されてのことでしょうが、若い人に切子ファンが増えるようにしたいと堀口さんはお話しされました。「陶器・磁器が何百年という歴史の上にその価値を築いているのなら、硝子の歴史のこれからの何百年のために、これから私たち若手が頑張って行こうと思っている。」と決意を述べられました。私たちもアートファンとして、切子を見守っていきたいと思い、これからは積極的に日本のガラスアートに注目していきたいと感じました。(エデュケーター 中村 宏美)

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