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イベント案内

過去のギャラリー巡り
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2022年7月2日(土)六本木エリア「マンションの一室にあるギャラリー」など

2022年よりスタートした「ふらっと入りにくいギャラリー」訪問シリーズ。
6回目は、六本木エリアに点在する3つのスペースに訪問いたしました。  

国立新美術館、サントリー美術館、森美術館があり、六本木アートトライアングルとも名付けられて久しいこのエリア。アートに敏感な人が集まりやすいエリアということで実はギャラリーもたくさんあり、ここ最近も続々とオープンしています。
 
まずは、国立新美術館の正面入り口の隣、赤いレンガのビルの中にある「605」にお邪魔いたしました。こちらはマンションの一室であるスペースに行くまでの間に看板等のヒントがほとんどなく、今回の訪問先の中では最も「ふらっと入りにくいギャラリー」といえます。

ギャラリストの若梅有子さんのお話によると、ギャラリー自体は銀座でスタートし、その後、地元である六本木に移転。国立新美術館などがオープンすることをきっかけに、複数あったギャラリーを現在の場所だけに絞り、今に至るとのことでした。

その後、縁あって、長野県松本市でもスペースを持っていらっしゃるそうです。 海外でも定期的に展示などを行っていましたが、コロナ禍をきっかけに現在は日本国内にシフトしているとのことです。  

 

ギャラリーとは、作品を販売する場所。若梅さんは、かつて別の画廊で働いていた時に印象派以前の作品を扱っていたことがあり、「実際には見ていない」エピソードを話しながら、その作品を販売するという状況に違和感を覚えたそうです。

 

そして、ご自身は、生きている作家の作品を扱う画廊にしようと思ったそうです。その後紆余曲折があり、今に至るそうです。ギャラリストとしてどうありたいか?をしっかり見極めていらっしゃる姿がとても素敵だと感じました。

ちょうど展示中の作家さんである高野倉里枝さんも在廊されていたので、お話を伺うことができました。
ご自身が幼少時代にタイに5年住んでいらっしゃったこともあり、作品からはアジアな雰囲気が伝わってくるようです。

今回の出品作品はレジデンスプログラムで訪れた2018年に首都バンコクから古都チェンマイに飛行機で向かう時に観た地上の田んぼの風景が印象的で、それをイメージして制作されたものだそうです。 母校の大学では技術的な基礎を徹底的に教えてくれたこともあり、それが一つの財産となり作品制作に多様性を持たせることができているとのことでした。
次に伺ったのは、六本木駅方面に歩いて5分ほどの「s+arts(スプラスアーツ)」。
ここはビルの入り口に展示のお知らせが出ているので比較的入りやすいかもしれません。ちょうど「鈴木圭 hi there」展が開催中でした。

こちらは、1987年に藤沢に開廊した「湘南台画廊」の2つ目のスペースとして2008年に六本木にオープンしたギャラリーを前身とし、2019年からは「s+arts」として山本斐沙さん、知青さん姉妹がディレクターを務められています。
作家は20代〜70代までと幅広いですが、ギャラリーと作家といわゆる「人と人」のつながりやフィーリングを大切にして運営しているとのことです。

ギャラリーを運営していれば、当然ながら作家さん側からの売り込みなどもあるそうですが、オリジナリティがあり技術が高いことは必須ではあるが、その基準を満たしていなくても、今後の可能性が感じられ、「展示したい」と思う作家については、一緒に歩んでいく場合もあるとのことです。
 今回展示中の作家、鈴木圭氏は、毎回架空の物語が作品に出てくるとのことですが、今回は「宇宙」と「労働」にまつわるストーリー。
パステル調の柔らかい作風と、「労働」というちょっと堅めのテーマのギャップがとても素敵に映りました。

小さく描かれている人物にも必ず「目」が描き込まれており、そんなところに作家さんが伝えたいものが感じ取れるような気がしました。
最後に伺ったのは、今年、六本木に移転したばかりの「nichido contemporary art」。
銀座・日動画廊の現代美術部門のギャラリーです。

ここは1階にあり外からも展示の様子が見えるので、場所さえ知っていれば、ハードルはさほど高くないギャラリーです。 ここでは岩瀬幸子さんにお話を伺いました。
以前は八丁堀で活動されていましたが、ちょうど良いスペースに出会えたということで、六本木に移転されたそうです。
国立新美術館と目と鼻の先の新しいビルの1階に贅沢な展示空間を有する、とても心地の良いギャラリーです。
展示空間のデザインに強い建築家・吉野弘氏に内装の設計をしていただいたそうです。  

ここでは「リュウ・ジーホンミミズ/Earthworms」を拝見しました。台湾出身のリュウ氏の作品からは、東洋的な雰囲気が感じられ、お話によれば、筆致には中国の水墨画の影響もあるとのことでした。
今回のタイトルにもなっている「ミミズ」は、彼の作品を観た子どもが「絵の中にミミズが這っているみたい」と言われたことにインスピレーションを得たとのこと。

もともと「目に見えないものを可視化させる」ということを大切にして表現を行っているリュウ氏の作品は、作品そのものに「力」があり、ずっと見ていても見飽きることがない、鑑賞者側の思考力・想像力を掻き立てさせる感じがしました。

この日はここにて終了となる予定でしたが、実はつい先日お隣に「オオタファインアーツ」の新たなスペースがオープンしたとの情報が・・・。

ギャラリーが閉まる時刻まであと数分ということもあり、解散後、興味のある方はちらっと立ち寄っていただきました!

 来月は、猛暑を想定してお休みですが、9月からまた再開いたします!

 

このイベントを通じて、一人でも多くの方が、さまざまなギャラリーへ気軽に足を運んでいただけるようになってほしいという願いを込めて、5月以降もまた「ふらっと入りにくいギャラリー」へ訪問してみたいと思います。

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