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イベント案内

過去のギャラリー巡り
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2022年6月4日(土)西麻布エリア「元公務員宿舎をリノベーションした建物の最上階のギャラリー」など

2022年よりスタートした「ふらっと入りにくいギャラリー」訪問シリーズ。 5回目は、港区内にある2つのスペースに訪問いたしました。  

東京でも屈指の高級住宅街「広尾」。緑が多く閑静なこのエリアは、大都会にいることを忘れてしまうような雰囲気です。
かつて江戸時代には武家屋敷があり、その後に各国大使館などができたことや、名門といわれる教育施設も多くあることから、次第にこのような土地柄になりました。
ここで訪れた建物は「コートヤードHIROO」。
ここは1968年に厚生労働省の公務員宿舎として建てられ、その後、リノベーションを経て2014年に民間の複合施設として新たにスタートしました。
そのなかには今回訪問したギャラリーの他に、SOHO、レストランなどが入っています。
「人が集まるスペースで、数値化しにくい文化(食やアート)などを創造していこう」というコンセプトで運営されているそうです。

ご案内いただいた吉永さんによれば、「この建物自体が一つのプロジェクト。ギャラリーはその中の要素のひとつです。
作家さんたちが、ホワイトキューブではない場所の展示をいろいろを考えることで、この空間でしかできない展示になる。それが一つの‛味’になるのかもしれない。」とのことです。
このギャラリーには、開口部(窓)があります。
作品によっては、そこからの光が展示をするうえで課題となる場合もありますが、逆にこれを活かす場合もあります。
このように展示と外光との関係については、作家によって様々であります。
山内さんによれば、そこに注目するのも、同じギャラリーに何度も行く楽しみのひとつといえるそうです。
今回拝見した企画は「鈴木のぞみ LIGHT OF OTHER DAYS」。会場では、鈴木さんにもお話を伺うことができました。
その作品制作には写真というメディアが用いられ、今回は古い事物に写真を焼き付けた作品などが展示されていました。
その支持体となっているものは、紙にとどまらず、窓ガラスや眼鏡等、さまざま。画像は、刹那的であり、風景の遺影のようで、まるで「事物の記憶」を顕在化させているようでした。
そこからは制作に対する作家さんの丁寧な姿勢が伝わってくるようでした。
次に向かったのはそこから徒歩5分ほどのところにある西麻布。一昔前は霞町といわれていたエリアです。
ここでは2か所目の訪問先であるギャラリー「ア・ライトハウス・カナタ」に伺いました。  

 アートに誘われるという言葉がぴったりの厳かなエントランスの奥には、とても広い展示空間が存在していました。
オーナーである青山さんによると
「海外のアートフェアへの参加を重ねて、外国人の顧客を多く持つようになるなかで、元々使っていたスペースがだんだんと手狭になってくるのを感じていた。そこにコロナ禍で時間ができたことで、現在の大きなスペースへと移動することができた。」と仰っていました。
エントランスからの動線は「聖堂」に入るような感じをイメージしているとのことです。
丁寧に塗られたグレーの壁面も、オーナーのこだわりのひとつです。
比較的「大きな」作品が多いため、場合によっては作品の搬入等にも工夫が必要とのことでした。

空間を変える力がある作家と作品をチョイスしているという青山さんは、作家のプロフィールなどは一切見ずに作品だけで決めるそうです。
さすがの審美眼と感心させられました。
「一過性、流行を追うのではなく、100年、200年後に日本を代表する作家として残るかどうか・・・。そんなことを考えて、作品を美術館に収めたり、様々なところに紹介してゆきたい。」と仰っておりました。

オーナーの確たるコンセプトと熱い思いが、ひしひしと伝わってきました。
ギャラリーの名前にもなっている「ライトハウス」(灯台)。
これからも作家さんを照らし続けるのだろうなと思いながら、後にいたしました。

この日は、2ヶ所のギャラリーでお話を伺い、予定通り約2時間で終了となりました。

 

このイベントを通じて、一人でも多くの方が、さまざまなギャラリーへ気軽に足を運んでいただけるようになってほしいという願いを込めて、5月以降もまた「ふらっと入りにくいギャラリー」へ訪問してみたいと思います。

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